ハラはローレンスを処刑したくなかった

ローレンスがヨノイに処刑を宣告されたとき、ハラはヤジマの葬儀中で淡々とお経を読んでいるが、ローレンスの叫ぶハラ軍曹!私は嘘を言えば良かったのか!?ハラ軍曹!!という声は確かに届いている。

ハラの中にはローレンスへの友情が存在し、前にローレンスが「ここからも出たいし、また貴方とも戦いたい」と言った言葉も覚えている。
心の中にはローレンスを処刑したくない思いがあるのだと思う。

そのクリスマスイブの夜、酔っ払ったハラがふぁーぜる・くりーすますを名乗り、ローレンスとセリアズを釈放するわけだが、何故彼はあんなに酔っていたのか。
やはり、ただの捕虜ではなく友情を感じるローレンスの処刑が惜しいのだろう。
だからその晩浴びるほど酒を飲んで酔っ払っていたのだ。

そして、およそ農村出身の彼が奇跡のように知っていた「クリスマス」になぞらえて、サンタクロースになり命を救うという、粋な計らい以上の素晴らしいプレゼントをローレンスに与えるのだ。

それでもなお、ハラは後日ヨノイに「ローレンスもセリアズも、特別われわれのためになる人物とは思えません。特別な計らいはわれわれの為にならんと、ハラはそう信じております」と言う。
彼もまた日本兵としての体裁と一個人としての感情の間に板挟みになっているのだと思う。
また、このセリフの中には「自分もローレンスのことを特別扱いはしないから、大尉どのもセリアズのことを特別扱いしないでください」という意味合いも含まれているかもしれない。